脱原発≠考えないと!
2011年4月25日
宇佐美 保
東京新聞(2011年4月24日)は、次の書き出しで、河野氏の脱原発§_を紹介していますので、この記事の大部分を引用させて頂きます。
政権与党時代、長らく原発を推進してきた自民党。その中にあっても、河野太郎衆院議員は国の原子力政策を批判し続けてきたが、軌道修正することはできなかった。福島第一原発事故では、政府や東京電力の対応を舌鋒鋭く攻撃する。反省の色が見えない自民党に対しても容赦ない。海外メディアも注目する「河野節」を聞きに行った。…… |
次から本文です。
今月二十日の衆院外務委員会。河野氏は約四十分間、経済産業省の松下忠洋副大臣らに執拗に食い下がった。 「政府と東電は合同の対策本部をつくったのに、なんで会見は別々なのかと聞いたら、『事故処理は東電の仕事、原子力安全・保安院は安全を監督しているだけです』という答弁だった。ところが、東電にインタビューしたドイツの雑誌記者によると、事故処理の責任は『政府、最終的には菅直人首相』と答えたそうだ。政府と電力会社が責任をなすり付けあっている。原子力の世界は昔から変わらないよね」 |
ここでの東電の答を、私達は是として良いのでしょうか!?
それにしても、「原子力安全・保安院」は、『政府、最終的には菅直人首相』なのでしょうか!?
『週刊文春:2011.4.7号』の「東電よ、いつまでタレ流すつもりだ」には、次のように書かれております。 驚くべき話だが安全審査で問題が起こると、経産省の担当者を高級クラブに接待して、東電側が「昼の話ですが、何とかなりませんかね」と酒の席で交渉したという。 「昔の通産省のたかり体質はひどく、『タクシー券、もってこい』とか『ビール券、もってこい』などは日常茶飯事。安全審査官がですよ。 ある時、安全審査官から電話があり、『ソフトボールをやりたいな』と言うんです。グラウンドを用意しろという意味です。また、『東電には女の子がいるよね』と、接待係として呼び出す。とにかく、たちが悪かった」(同前) こうした馴れ合いが、目が点になるような実態へと繋がる。 「安全審査は当時の通産省と原子力安全委員会のダブルチェックということになっています。しかし、審査の資料を作成していたのは東電です。通産省とすり合わせて、『安全審査書』を東電がつくり、あたかも通産省が書いたかのように『通産省』という名前を入れて東電が印刷します。次に、原子力安全委員会の二次審査では、通産省が同委員会に説明をしなければならない。その資料も東電がつくり、最終的に原子力安全委員会の『安全審査書』が出るわけですが、それも東電が作っていました。まったくのお手盛り″だったのです」(同前) なぜ日本の原子力行政はこんな杜撰なことをしてきたのか。理由はハッキリしている。規制をする気などハナからないからだ。 |
これでは、「原子力安全・保安院」は、東電と一心同体の組織ではありませんか!?
事故処理の責任は『政府、最終的には菅直人首相』ではなく、事故処理の責任は『東電』ではありませんか!?
河野氏には海外メディアの取材が相次いでいる。民間告発サイト「ウイキリークス」が公表した米国務省の機密文書の中に「河野氏が原子力政策を批判している」との報告があったからだ。 「日本政府は海外で信頼を失った。政府と東電のやることで、疑念がないのはどれか、という話になっている。事の起こりは、(空気中の放射線量を測定する)モニタリングポスト。津波による電源喪失で一週間も数値が出なかった。電力会社が電源の復旧にこんなに時間がかかるなんて、やる気がないから。復旧までの問、モニタリングの装置を積んだ車を使ったそうだが、他の場所よりも数値が一けたも高い測定ポイントが、ある時から表に出なくなった。これでは誰も信用しない」 |
私には、東電は、「放射線量」だけではなく、直接出来ではなくても間接的に「福島原発(近辺)での震度」を隠ぺいしているのではないでしょうか?!
『DAYS Japan:2011年5月号』に、作家の広瀬隆氏は次のように記述されています。
マグニチュード9・0再修正のトリック 東北関東大震災によって、津波被害が起こり、それにより福島原発が炉心溶融という事故を引き起こしましたが、これはまったくの人災です。 …… 事故後、マグニチュードが8.3から8.4、8.8、9.0へと修正されました。これは、四川大地震の時の中国でもそうでした。被害が大きくなるほどマグニチュードを大きくする。これはおかしいです。地震学者の島村英紀さんによると、マグニチュード9.0というのは、これまで用いてきた基準を、突然今回だけ変えた結果こうなったそうです(注1)。なぜかというと電力会社の将来の損害賠償を回避するためには、今回の震災を「想像できない規模のもの」であったことにしなければならない(注2)。だからNHKなども「1000年に1度の地震」と報じています。とんでもないです。今回の地震は最大2933ガルと思われますが、これは重力加速度の3倍となり、確かに非常に大きい。だけどほんの3年前、もっと大きな揺れの地震(注3)が起こっています。だから史上空前のマグニチュード9.0というのはまったく嘘ということです。 さらに今回の場合、原発の被害はすべて揺れではなく、津波によるものです。津波の大きさを見ると、明治三陸地震(注4)の津波で38メートルありました。今回は、今分かっている限りで東北地方の津波は15メートル、遡上高さ(注5)で20メートル。この規模の津波は、これまで多くあり、国内最大級の津波ではありません。 (注1)地震の規模を表す「マグニチュード」は数種あり、どの尺度を用いるかで、同じ地震でも実際には数値に差が生じる。気象庁が従来使ってきた「気象庁マグニチュード」では8を超える大地震の値が頭打ちになる傾向があるが、「モーメントマグニチュード」は巨大地震のエネルギーでも求められる。 (注2)「原子力損害賠償法」の原子力事業者の免責事由に「異常に巨大な天災地変」があるため、東京電力が賠償責任を免除されるためには、今回の震災が「想像できない規模のもの」である必要がある。 (注3)2008年6月14日の岩手・宮城内陸地震では史上最大の揺れ4022ガルを記録した。 (注4)1896年6月15日に発生し、観測史上最大の津波となった。 (注5)津波が這い上がって到達した地点の高さ。
(筆者注:地球表面における重力加速度は、約980ガル) |
そして、更には、広瀬隆氏の次のような驚くべき記述です。
この講演会(筆者注:3月23日の広瀬氏の講演)のあと、明らかになった重大事として、実は福島原発の炉心溶融は、わずか500ガルの揺れで、最初に原子炉のパイプが破断したことに原因がある、という可能性である。(筆者注:先の記述では「今回の地震は最大2933ガル」、それよりも)そうなると、日本全土54基の原発すべての耐震安全性がすべて吹っ飛ぶので、この事実は隠されている可能性が高い。 4月2日まで、福島原発で計測された揺れのデータがまったく公表されなかったのは、そのためであろう。浜岡原発などは、刻々と迫ってきた東海大地震の一撃で即メルトダウンになる。 また、茨城県の東海第二原発でも、今回の津波で非常用ディーゼル発電機が故障し、「あわや」という事態になっていたことが、地元紙・常陽新聞で3月26日に初めて報じられた。なぜこのような重大事が、報道の世界でずっと隠されてきたのか。 |
「福島原発の炉心溶融は、わずか500ガルの揺れで、最初に原子炉のパイプが破断した」が事実なら、広瀬氏の御指摘の通り、「本全土54基の原発すべての耐震安全性がすべて吹っ飛ぶ」事になります。
恐ろしい事です。
でも、本当に恐ろしい話なのです。
『週刊現代:2011.5.4/17号』には、内閣府原子力委員会専門委員を務める中部大学の武田邦彦氏の警告が記載されています。
その中の一部が次の通りです。
武田氏は、’09年に出版した著作で、地震で原発が壊れると予言しているのだ。「(日本の原発は)きちんとした制御機能が働くものであっても倒れてしまうのですから、中の放射性物質が外に出てしまいます」 (『偽善エネルギー』幻冬舎新書)。氏がその弱さを認識したのは5年前だったという。 ‘06年の5月、内閣府原子力安全委員会で原発の新しい耐震指針を決める部会があった。専門委員だった私も出席したんですが、『耐震指針』の文面を読んでビックリしました。原発に起こる想定外の危険が、「残余のリスク」として認められているんです。 要するに、予測された地震の規模に応じて倒れない原発を建設するが、もし、予測を超えた規模の地震が起きたときは原発が壊れたり、付近住民が被曝したりしても仕方がない、と書いてある。私は「地震で倒れる原発はまずい」と発言したんですが、出席者の誰一人賛同しない。 そこで、「この耐震指針通りだと、原発は地震が来たら壊れてしまう。ならば、付近住民に迅速に逃げるためのオートバイと、甲状腺を守るためのヨウ素を配ってもらいたい」と言ったんですが、完全に黙殺されました。日本の原子力行政は、国民の立場で原発を考えたことなどないんです。 原発を建てる当事者が耐震予想を低く想定し、それ以上の地震が起きたときは「残余のリスク」だから、仕方がないと言い訳を用意する。下手にそれに異議を唱えてはならない、という空気が自然にあって、すべての物事が決定していく。 裏を返せば、福島の原発事故は「耐震指針」に沿って、計画通りに起こったんです。設計、施工、運転ともに問題はなかった。ただ、その決め方、システムが悪かったんです。今回の事故で改めて思うのは、原子力行政に携わってきた人たちが、国民に対して不誠実すぎたということ。地震で放射線が漏れる原発を堂々とつくつてきたんですから。 これは、私を含めた原子力関係者の大失敗です。 この意味で、今回の原発事故は明らかに人災でしょう。ひょっとすると、そうした旧態依然の原子力行政こそが、なかなか消えずタチの悪い「残留放射線」なのかもしれませんね。 |
(この件は、武田氏は御自身のホームページ「原発深層流003 危険な原発・登場の瞬間」に於いても警告されておられます
更に、
「2011年4月 9日
(土)の[ニュースの深層] これからの福島第一原発と放射能汚染」 (TVウォッチBLOGで、見る事が出来ます) にゲスト出演された武田邦彦氏は、次のように、腰を抜かしてしまうようなお話を語っておられます。 日本の原発は、古い新しいもなく皆地震に対して弱い、何しろ、最近の地震(震度:5〜6)で、「東通り」も「女川」等でも事故が起きてしまった。 原発設計の「地震指針」が電力会社によって勝手に決定できる仕組みになっているのが問題。 私は、原子力安全委員会の保安院の部会で、「地震指針」を検討していましたが、その指針は、電力会社が、“今から50年間で起こる地震で一番大きい震度は?” と地震学者に訊く、そして、地震学者の説も色々で、震度7と言う人もあれば5と言う人もある。 そうなると電力会社が学者の選択権を持っていて、5と言う人を招集して委員会を開いて「地震指針の震度を5」と決定してしまうのだ。 そして、保安院の人も手続きさえ真っ当なら文句はなく、この決定を審査するシステムが日本にはない。 (外面的には、全て規則通りに運ばれているので) |
では、又、河野氏の発言を続けます。
「閣僚の防災服はバカバカしいと思ったが、海外の記者も『あの服で逃げるのか。大臣が力仕事をしなければならないほど危機的状況なのか』と誤解した。細野豪志首相補佐官に議員宿舎でばったり会ったから『防災服はやめさせろ、評判悪いよ』と伝えた。(菅直人首相らは)四月一日から脱いだよね」 |
この防災服は自民党政権時代も石原慎太郎都知事も着て居りました。
河野氏が原発に批判的な立場を取るのは、使用済み核燃料の処分方法が確立していないからだ。 日本では、使用済み核燃料から核物質のプルトニウムを取り出し、燃料として再利用する「核燃料サイクル」事業を推し進めてきた。 ところが、青森県六ヶ所村の再処理工場は稼働せず、一方で「高速増殖炉(FBR)」はいまだに実用化されない。核兵器に転用可能なプルトニウムを余分に持たないのが国際公約だが、国内と、英仏に委託して海外保管中のプルトニウムは四十五トン(核分裂しないものを含む)。 |
この「再処理工場」問題は次の拙文≪原子力発電は安価≠フ欺瞞≫にても触れたいと存じます。
「北朝鮮がプルトニウムを五十`保有しているだけで大騒ぎしているのに、日本はその一千倍も持っている。FBRは五十年たってもできません、それなのにプルトニウムを持つって、どういうことか。何兆円も金をかけるのは明らかにおかしい」 「見直すべきだと自民党内で主張したが、会議で発言しようとしても、東電副社長から転身した参院議員らに無視された。おれはこの人とは口もきかないけどね。(六ヶ所村のある)自民党青森県連なんて、河野太郎を除名しろという動きもあったから」 |
東京新聞(2011.4.9)の「小出裕幸・京大助教に聞く」の中で、記者問に、小出氏の次のように答えて居られます。
カネと同時に「原発推進は国の方針」という力も大きかった。だが、日本は唯一の被爆国で核アレルギーも強い。なぜ、推進されるのか。 「核兵器を持つというより、その製造能力を維持するため、としか考えられない。原発を推進すれば、その技術と材料であるプルトニウムが手に入るのだから」 |
私も同感です。
河野氏は、自民党政権時に要職にも就いたが、福島の原発事故が起きるまで原発推進政策を改めることができなかった。 その反省に立って、まず巨大地震の震源が直下に想定される浜岡原発(静岡県御前崎市)を停止し、全国の原発を徐々に廃止すべきだと考える。 「一番危ない浜岡を止めて、安全確保をちゃんとやると示さないと。おれが言ってるのは、少なくとも新規立地をやめましょう、ということ。原子炉は五十年で廃炉になる。原子炉がゼロになるまでに、電力需要を省エネで二〜三割削減し、残りは再生可能エネルギーを増やして対応すればいい」 |
「一番危ない浜岡を止めて」の件は、先に掲げた広瀬隆氏の見解と同じです。
ただ、残念なことには、「電力需要を省エネで二〜三割削減し……」は、河野氏といえども、東電側の宣伝(原発が30%負担)に洗脳されておられるようです。
河野氏の発言を続けます。
日本は資源に乏しい国だから原発が必要、原発はクリーンで二酸化炭素を出さず温暖化対策になる、再生可能エネルギーは高価で不安定…などと、電力会社や政府は原発推進の理屈を語ってきた。 「原発の燃料のウランは100%輸入頼りで、採掘可能年数は七十年ともいわれる。高速増殖炉も実用化できない以上、原油と何が違うのか。使用済み核燃料は人がそばに行ったら死ぬ。欧州をみれば、再生可能エネルギーが高いとか不安定というのもウソと分かる」 河野氏は、こうした原子力神話〃の背景には、メディアの責任があると指摘する。 「電力会社は電気料金から巨額の広告費をテレビや新聞、雑誌に出して、原発批判を封じ込めてきた。メディアは年金問題の時はあんなに騒いだのに、六ヶ所村再処理工場の費用が見込みより一兆数千億円も超過するデタラメには何も言わない。そのせいで、オウム真理教信者みたいに洗脳され、今もなかなか脱却できない」 |
ここでの件も、次の拙文≪原子力発電は安価≠フ欺瞞≫にても触れたいと存じます。
毎日新聞の記述の続きです。
メディアに広告費を出せるのは、電力会社が法で手厚く保護されているからだ。 電気事業法では、発電・送電・電力販売のコストに一定の報酬率を上乗せして、電気料金が決まる。 「総括原価方式」と呼ばれ、設備投資も事故の経費も、電気料金に上乗せできる。 河野氏は、この方式をやめることが肝心と考える。 |
前文同様『週刊文春:2011.4.28』の記事を引用させて頂きます。 九〇年代後半に電気事業審議会の委員を務めた鈴木氏は、公の場でたびたび「米国と比較すると、日本の電気代は約三倍高い」と主張し、電気料金の引き下げを迫った。一方の電力A社はその度に「停電が少なく、世界長高品質の電力を供給してきた」と反論。鈴木氏は、政官財界とガッチリスクラムを組む電力業界の厚い壁に跳ね返されてきた。 当時を知る電気事業審議会委員の一人が振り返る。 「勝俣氏(現・東電会長)が常務の時でした。電力会社は、自由化はとんでもないという雰囲気をつくっていて、専門部会で勝俣さんが『自由化を主張する皆さん方の議論は、群盲象を撫でるという議論だ』と切り捨てたのです。当然、出席者は猛反発しました。電力会社の独占的立場が独占禁止法に抵触するという話になった時も、勝俣さんは『泥棒する前に手を縛る≠フはいかがかと思う。私どもは企業として公平、透明な制度を作っていきたいと思っている』と語ったのです」 |
勝俣氏は、議論相手を「群盲」と切って捨てるのですから、随分失礼な方だと存じます。
しかし、「泥棒する前に手を縛る≠フはいかがかと思う」との勝俣氏の言に対抗して、「勝俣氏らの手を縛っておく」べきだったのです。
「自由競争にすれば、あんな高コストの原発は誰もつくらない。『原発が一番発電コストが安い』という電力会社の言い分を検証しようと、数字の根拠となる資料を経産省に要求すると、出てくる書類は黒塗りだらけ。安くなるのは、事故も再処理も計算に入れていないからだ。
ここでの『原発が一番発電コストが安い』の反論も、次の拙文≪原子力発電は安価≠フ欺瞞≫にても触れたいと存じます。
『週刊文春:2011.4.28』の記事の続きです。 国は原発賠償のための新機構を立ち上げ、公的資金で支援する方向で調整を始めた。 「国からの借金を東電の利益から返すというのは、消費者が払う電気料金で賠償するということ。こんなバカな話はない。津波の想定をしたのは電力会社なのだから、一義的責任は東電にある」 |
ここでの河野氏の「津波の想定をしたのは電力会社」に関しては、
次の毎日新聞(2011年4月17日)に、先の武田氏の発言同様な、驚くべき事実が紹介されています。
◇土木学会委員の過半数は電力関係者 一方、原発で想定される津波の指針を決めた土木学会で、委員の過半数が電力関係者だったことが分かった。同学会津波評価部会が02年にまとめた指針に基づいて東電が想定した津波は最大5.4〜5.7メートルだったが、第1原発の津波は最大14メートルに達したと推定される。同部会の当時の委員30人のうち17人は東電や電力系シンクタンクの出身。同学会関係者は「研究を委託した事業者の意見も聞く必要がある」と話すが、電力会社と研究機関が近すぎるとの批判も出ている。 |
これでは、先の勝俣東電会長の言い分に対して
“泥棒が自分に都合のよい法律を作っている” |
の言葉を投げつけたく存じます。
更に、朝日新聞(2011年4月19日)には次の記事が載っています。
東電サイト「最大級の津波を想定」…事故1カ月後に削除 削除された津波対策を紹介していたページ。「様々な安全対策を講じています」などと記載されていた=東電のホームページから
東京電力が福島第一原発の事故を受け、自社のホームページ(HP)から「想定される最大級の津波を評価し、重要施設の安全性を確認しています」などと紹介した津波対策の記載を、事故後1カ月以上たった後に削除していたことが分かった。東電は「従来の対策を掲載し続けることはおかしい、と(閲覧者から)おしかりを受けたため削除した」と説明している。 東電によると、13日にHPを一新した際、津波対策のページを削除した。事故の後も、HPに「考えられる最大の地震も考慮して設計しています」などという対策が載り続けていることに対し、閲覧者から非難の声が寄せられたという。 そのページには、津波対策として「敷地周辺で過去に発生した津波の記録を十分調査するとともに、過去最大の津波を上回る、地震学的に想定される最大級の津波を数値シミュレーションにより評価し、重要施設の安全性を確認しています」と記載。イラスト付きで「発電所敷地の高さに余裕を持たせるなどの様々な安全対策を講じています」としていた。 |
そのページには、津波対策として「敷地周辺で過去に発生した津波の記録を十分調査するとともに、過去最大の津波を上回る、地震学的に想定される最大級の津波を数値シミュレーションにより評価し、重要施設の安全性を確認しています」と記載。イラスト付きで「発電所敷地の高さに余裕を持たせるなどの様々な安全対策を講じています」としていた。
「泥棒自身が作った法律で自分は無実」 と、東電はホームページでも言い張っていたのだと私は思います。 |
毎日新聞の記述の続きです。
河野氏は、自身の主張に個人的に耳を傾ける議員が出てきていると感じている。近く、超党派の脱原発議連≠燉ァち上げるつもりだ。ただ政府や与野党の動きは鈍い。 |
政治家にとっての最大関心事は、次の選挙で自分が生き残れるかなのではありませんか!?
今回、24日に行われた第17回統一地方選では、民主党も脱原発≠フメッセージを明確に打ち出せずに惨敗しました。
これまでの「原発行政の推進役」であった自民党は、 (原発事故の後始末を民主党政権の押しつけ) 「知らぬ顔の半兵衛」を決め込み勢力を盛り返してしまいました。 |
河野氏の発言を続けます。
「これまでずっと、経産省は電力会社の既得権益を守り、電力会社は原発関連の公益法人をつくって天下りを受け入れてきた。原子力ムラをつくってきた自民党も民主党にも責任はある。自民党は原発立地の時に金をふんだくれるし、民主党は労働組合が選挙で応援してくれて、みんながおいしい思いをしてきた。原発推進の経産省の下に規制側の原子力安全・保安院がある矛盾や、原発は環境省の法令の適用外や、自民党がつくってきた体制を変えないと。原発がなくても平気な社会は、やれば実現できる。そのためには、政治が号令をかけなきゃいけない」 |
「原発推進の経産省の下に規制側の原子力安全・保安院がある矛盾」に関しては、
先の中部大学教授の武田氏は御自身のホームページ≪原発 少し落ち着いたので・・・「保安院という化け物」≫に於いて、次のように書かれておられます。 …… 【なぜ、保安院の人は謝らずに威張っているのか?】 日本の原子力行政は、原子力委員会が推進、原子力安全委員会が抑制ということになっていたが、政府がいつの間にか、原子力安全・保安院というのを作り、「抑制機関無しの原子力行政」を始めた。 そのため、安全を考えて抑制する立場だった「原子力安全委員会」は国民に代わって、直接、原子力の安全を守ることができなくなった。 原子力安全・保安院は全権を持ち、電力会社や原子力安全委員会などに強い影響を持つようになった。これがテレビで見た保安院の人の傲慢な態度にあらわれていた。 保安院は常に原発に口を出し、俺の言うことを聞かなければ認可しないぞと言い、そして現場を知らないという状態で推移していた。 このことが「地震で破壊する原発」を作ってきた原因であり、さらに「震度6など想定していなかった」とか「地震対策はしてきたが、津波が起こるとは知らなかった」などという奇妙な言い訳を作り出す原因にもなっている. テレビにでた保安院の人は謝りもせず、傲慢な態度に終始した.これは「事故は俺が起こしたのではない」ということだが、「原発の安全に責任を持つ」という気持ちが無い人が、「原発の安全規制の権力を持っている」ということだからだ。 彼らは規制について強い権限を持っている.だから電力会社は認可をもらうためにペコペコしなければならない。でも事故が起こったら知らない顔をする・・・役人が入るとこのようになる。 今、事故が進行中だが、保安院は登場しても混乱するだけだ。東京電力と政府だけで進めてもらいたい。 ……(平成23年3月15日 執筆) |
この武田氏の冒頭の「日本の原子力行政は、原子力委員会が推進、原子力安全委員会が抑制ということになっていたが、政府がいつの間にか、原子力安全・保安院というのを作り、「抑制機関無しの原子力行政」を始めた。」
記述にありますように、「日本の原子力行政」は、遮二無二原子力政策を遂行したいがために、「原子力安全委員会」と言う、ブレーキの機能を排除する為、本来は不必要な「原子力安全・保安院」を創設し、ブレーキ機能をマヒさせてしまったのです。
とんでもない政治家たちです。
如何なるものを設計制作建設などしても、所詮は人間の行う事です。 そして、その失敗の付けを子孫に回してはならないという事です。 この事を良く考える必要があると存じます。 |
『週刊文春(2011.4.7号):班目春樹 原子力安全委員長の暴言妄言をスッパ抜く!』には、次のような記事が載っています。
……内閣府原子力安全委員会の班目春樹委員長(63)……安全委員会そのトップである委員長は、国会同意人事によって決まり、報酬も月額百六万円と公務員では最高レベルだ。 なぜ、こんな人物が委員長を務めているのか。…… 班目氏は浜岡原発運転差し止め訴訟(〇七年)の中電側の証人として、こんな証言をしている。 「非常用ディーゼルが二台同時に壊れて、いろいろな問題が起こるためには、そのほかにもあれも起こる、これも起こる、あれも起こる、これも起こると、仮定の上に何個も重ねて初めて大事故に至るわけです。 (中略)何でもかんでも、これも可能性ちょっとある、これはちょっと可能性がある、そういうものを全部組み合わせていったら、ものなんて絶対造れません。だからどっかでは割り切るんです」(反対尋問より) |
班目氏は、原発事故が他の事故と異なる事に気が付いていなかったのでしょうか!?
更には、次の『週刊文春』記述です。
六ヶ所村核燃料再処理施設問題を追いかけたドキユメンタリー映画「六ヶ所村ラプソディー」の中でも、終始ヘラヘラした態度で妄言を繰り返す。 「原子力発電に対して、安心する日なんて来ませんよ。せめて信頼して欲しいと思いますけど。安心なんかできるわけないじゃないですか。あんな不気味なの」 「最後の処分地の話は、最後は結局お金でしょ。どうしてもみんなが受け入れてくれないっていうんだったら、おたくには二倍払いましょ。それでも手を挙げないんだったら五倍払いましょ。十倍払いましょ」 鎌仲ひとみ監督は、「当事者意識の薄い喋り方をする人だ」と語る。 「映画には収録していませんが、『そんなことを言っていると、あんたも反対派だと思われ損をするよ』『便利さを求めて、かつ安全だなんてことは有り得ないだろ』とも言われた」 |
原子力安全委員会のトップがこの有様です。
「朱に交われば赤くなる」なのでしょうかトップがこの有様です!?
いえいえ、
「最後の処分地の話は、最後は結局お金でしょ。どうしてもみんなが受け入れてくれないっていうんだったら、おたくには二倍払いましょ。それでも手を挙げないんだったら五倍払いましょ。十倍払いましょ」は、斑目氏ご自身の内心から出た言葉なのでしょう。
何しろ『週刊現代:2011.5.7.14号』「佐高信×寺島実郎 この国はどこで失敗したのか」中で、次の記述を見ます。
佐高 これは中曽根自身が『政治と人生』という自伝のなかで書いていますが、原発に慎重な学者が待ったをかけようとすると、やはり札束が動いたらしい。それこそ、そういう学者のほっぺたを札束で叩いてやるんだと。ただし、これは一緒に原発を准進してきた稲葉修(元法相)の言葉だと弁解してますけど、まあ似たようなものでしょう。そういうふうに札束でほっぺたを叩くようなやり方で進めてきた結果が今回の惨事じゃないでしょうか。 |
斑目氏も「ほっぺたを札束で叩かれ」原発派に転向された体験をお持ちなのかもしれません。
ですから、この斑目氏の 「原子力発電に対して、……安心なんかできるわけないじゃないですか。あんな不気味なの」 の発言こそが原子力安全委員会の正式見解と私達は解釈し 脱原発≠ヨと進むべきと存じます。 |
河野太郎氏は、最後に「そのためには、政治が号令をかけなきゃいけない」と語っていますが、その政治家たちは従来の政治家では駄目だという事です。
そして、その政治家を選択するのは私達なのです。
その私達は、まんまと、「原発は安全」「発電量の30%を担っている原発を止めてはならない」、「原発は安い」を教え込まれ信じ続けて来たのです。
では次の拙文≪原子力発電は安価≠フ欺瞞≫に移らせて頂きます。